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岐阜県の最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明

2019.07.05

岐阜県の最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明

1 現在、岐阜県の地域別最低賃金は1時間825円であり、全国加重平均である874円を50円ほど下回っている。

2 地域別最低賃金は、中央最低賃金審査会における最低賃金改定の答申を受けて行われる各都道府県の地方最低賃金審議会での審議の結果を踏まえて、各都道府県の労働局長において定められるものである。

我が国の最低賃金制度は、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定等に資することを目的としている(最低賃金法1条)。

しかしながら、我が国の貧困率は15.6パーセントと高止まりしており、特にひとり親世帯の貧困率は50.1%と2世帯に1世帯が貧困状態に陥っている(平成28年国民生活基礎調査)。働いているにもかかわらず貧困状態にある者の多くは、最低賃金付近での労働を余儀なくされており、最低賃金の低さが、貧困状態からの脱出を阻む大きな要因となっている。

実際、本県での地域別最低賃金825円で、フルタイム労働(一日8時間、月22日)をしても、総支給額で月額14万5200円、年で175万円弱にしかならない。

これはワーキングプアの指標とされる年収200万円を大きく下回っており、最低賃金付近での就労を強いられている労働者は、生活を維持するために、長時間労働や複数の就労の掛け持ちを余儀なくされていると解さざるを得ない。

3 さらに、ひとり親家庭については、本県においても、約半数の世帯が年収200万円以下となっている(岐阜県ひとり親家庭等自立促進計画参照)。ひとり親は育児のために時間、場所など働き方が限られるため、好条件での就労は困難となり、結果的に最低賃金付近での労働を余儀なくされることが多い。最低賃金の低さが、ひとり親家庭の困窮に拍車をかけているといえ、貧困の連鎖を生む要因となっているともいえる。

貧困の連鎖を断ち切るという観点からも、最低賃金の大幅引上げは不可欠である。

4 また、愛知県との最低賃金の格差が毎年拡大していることも問題である。

愛知県の現在の最低賃金は898円であり、本県との最低賃金の格差は、昨年も2円拡大し、73円に及んでいる。平成21年の両県の格差は36円であり、この10年で格差は倍以上に拡大した。かかる格差のため、愛知県内のフルタイム労働者の年収と同額の賃金を本県内で得るためには、県内では24日、すなわち一か月分以上も余分に働く必要がある。

隣県との格差の拡大は、労働者の流出を招き、ひいては地域の活力を失わせる要因ともなりかねない。

他方で、収入に占める消費支出の割合は、低所得者の方が高くなる傾向があるため、最低賃金の引上げは、地域経済の活性化に直結する。

本県における最低賃金を大幅に引上げ、愛知県との格差を是正することは、地域経済の発展を促す結果をももたらすこととなる。

5  なお、本県においても、直近3年間で71円の最低賃金の引上げがなされており、さらなる最低賃金の大幅な引上げは、特に中小企業の経営に大きな影響を与えることが予想される。

国も経済財政運営と改革の基本方針2019において、より早期に全国加重平均が1000円になることを目指すとしており、国レベルでの施策も期待されるが、本県でも、最低賃金の引上げが困難な中小企業のために、最低賃金の引上げを可能とするための補助金制度等の構築も検討すべきである。

6  以上のことを踏まえて、当会は、岐阜県の地域別最低賃金の大幅な引上げを図り、地域経済の健全な発展を促すとともに、労働者の健康で文化的な生活の確保を求めるものである。

 

2019年 7月 5日

岐阜県弁護士会

会 長  鈴 木 雅 雄

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