岐阜県弁護士会

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統一教会被害で明らかになった個人の意思決定の自由が阻害される被害に関する実効的な救済及び予防のための立法措置を求める会長声明

2024.03.13

1 違法の本質と立法措置の必要性
2022年7月8日に発生した元首相銃撃事件をきっかけに、宗教法人世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊教会、以下「統一教会」という。)による様々な被害が明らかになっていった。統一教会被害は、統一教会に限らず、団体がその活動に参加する人の精神又は身体における強度の依存状態を作り出し、結果的に多大な経済被害のみならず、家族関係の破壊や子どもの虐待、健全な養育の阻害などの人権侵害を引き起こしていることを明らかにした。
その違法の本質は、個人の価値判断の基準そのものを不当に変容させる勧誘手法が用いられることで、個人の思想…

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統一教会を始め宗教等二世の被害の防止と支援を求める会長声明

2024.03.13

2022年7月8日に発生した元首相銃撃事件をきっかけに、宗教法人宗教法人世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊教会、統一教会と略称される。)を始め、保護者の宗教的活動が原因となって家計のひっ迫を招き、子どもに対して十分な監護・教育がなされなかったり、子どもが保護者の信仰に基づく特異な思考・行動様式を強いられたりするなど、その成長や発達に重大な影響を受ける実態があることが明らかになってきた。そして、人格形成期にこうした環境下に置かれた者は、成人した後にも、植え付けられた宗教上の教義から離脱できず、長年にわたり精神的に不安定な状態となることを余儀なくされ…

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統一教会被害の迅速かつ全面的な救済を求める会長声明

2024.03.13

1 統一教会被害の被害実態と違法性の本質
 2022年7月8日に発生した元首相銃撃事件をきっかけに、宗教法人世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊教会、以下「統一教会」という。)による様々な被害が明らかになっていった。政府は、質問権(宗教法人法78条の2)を行使するなどして実態解明に努めた上で、2023年10月12日、統一教会は同法81条1項1号及び2号前段に該当するとして東京地方裁判所に解散命令を請求した。
政府によれば、統一教会は「遅くとも昭和55年ころから長期間にわたって継続的に」「自由な意思決定に制限を加え、正常な判断が妨げられる状態で献…

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特定商取引法の改正を求める会長声明

2024.03.12

特定商取引に関する法律(以下、「特商法」という。)は、特定の取引形態における不適正な勧誘・取引を防ぎ、消費者の利益を保護するための法律である。
特商法は、過去繰り返し改正されてきた。この点、2016年(平成28年)の改正時には、勧誘を要請していない顧客に対し、訪問又は電話により、商品取引契約(取引の受託、代理等)を勧誘すること(いわゆる不招請勧誘)を禁止する規制等の導入が見送られたものの、附則第6条において、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の特定商取引に関する法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認め…

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名張毒ぶどう酒事件第10次再審請求特別抗告棄却決定に対する会長声明

2024.03.12

 最高裁判所第3小法廷(長嶺安政裁判長)は、2024年(令和6年)1月29日付けで、いわゆる名張毒ぶどう酒事件の第10次再審請求の特別抗告審につき、再審請求を棄却した名古屋高等裁判所刑事第1部の原々決定(山口裕之裁判長)、異議申立を棄却した同裁判所刑事第2部の原決定(鹿野伸二裁判長)を是認し、亡奥西勝氏の妹岡美代子氏の特別抗告を棄却する旨決定した(以下「本決定」という)。ただし、原々決定、原決定を取り消して再審を開始すべきという宇賀克也裁判官の反対意見(以下「宇賀反対意見」という。)が付されている。
 
 名張毒ぶどう酒事件は、1961年(…

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「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」の閣議決定及び国会提出に抗議し、その撤回を求める会長声明

2024.03.12

1 閣議決定及び国会への提出
政府は、2024年2月27日、「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。本法案の概要は、①重要経済基盤(重要なインフラや物資のサプライチェーン)に関する一定の情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため特に秘匿する必要があるものを「重要経済安保情報」として秘密指定する、②「重要経済安保情報」の取扱いの業務は政府による適正評価(セキュリティ・クリアランス)を実施し、重要経済安保情報を漏えいするおそれがないと認められた者に制限する、③漏…

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特定少年の実名公表・推知報道が本当に必要なのか引き続き深く検討することを求める会長声明

2024.03.01

2023年(令和5年)6月14日に岐阜市の陸上自衛隊射撃場で発生した自動小銃による殺傷事件(以下「本件」という。)に関し、本年2月28日、岐阜地方検察庁は、現在19歳(犯行時18歳)の特定少年を強盗殺人等の罪で岐阜地方裁判所に起訴し、実名を公表した。報道各社もまた、これに追随し、新聞、テレビニュース、ニュースサイト等各種メディアにおいて少年の氏名を報道(推知報道)した。
当会は本年2月22日発出の「自動小銃による殺傷事件に関し、特定少年の実名等の公表及び推知報道を控えることを求める会長声明」において、改正少年法が推知報道を一部解除したとはいえ、少年法が…

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自動小銃による殺傷事件に関し、特定少年の実名等の公表及び推知報道を控えることを求める会長声明

2024.02.22

1 少年法第61条は、少年の氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等により当該事件の本人と推知できるような記事又は写真の出版物への掲載(以下「推知報道」という。)を禁止している。2022年(令和4年)4月1日に施行された「少年法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第47号)により、18歳又は19歳の少年(以下「特定少年」という。)について公判請求(起訴)された場合に、推知報道の禁止が解除された(同法第68条本文)。
2023年(令和5年)6月14日に岐阜市の陸上自衛隊射撃場で発生した自動小銃による殺傷事件(以下「本件」という。)に関し、被疑者とされた当時18…

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性的少数者の差別や不利益の根絶を求める会長声明

2024.02.05

1 性的少数者が受けている差別や不利益は解消していない
2023年、性的少数者に関して最高裁判決等重要な司法判断が示された。そして、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(以下「理解増進法」という)が成立した。岐阜県においては、9月から岐阜県パートナーシップ宣誓制度が始まっている。このように、これまで差別や不合理な不利益を受けてきた性的少数者に関し、その差別や不利益を解消すべく前進した年であったということができる。
その一方で、性的少数者に対する誹謗中傷、特にトランスジェンダーに対する憎悪表現が繰り返された…

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令和6年能登半島地震に関する会長声明

2024.02.05

2024年(令和6年)1月1日発生した令和6年能登半島地震から1か月が経過しました。日を追って明らかになる広範囲にわたる甚大な被害に大変心を痛めています。
当会は、この地震及びこれに関連して亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、今もなお、厳しい環境におかれている被災された皆様への救援、生活支援が早急になされ、水道・電気や道路などのインフラの復旧などが進められ、被災地が一日でも早く復興することを願ってやみません。  
 金沢、富山県、新潟県の各弁護士会は、災害が発生した翌日である1月2日…

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法制審議会刑事法(情報通信技術関係)部会の要綱(骨子)案に反対する会長声明

2024.01.17

 2023年(令和5年)12月18日、法制審議会刑事法(情報通信技術関係)部会(以下「法制審部会」という。)において、事務当局作成の要綱(骨子)案(以下「要綱(骨子)案」という。)を法制審部会の意見として法制審議会(総会)に報告することが決定された。
 情報通信技術は、国民の権利利益の保護・実現のために活用されるべきである。かかる技術を捜査のために用いる制度を創設するにしても、これによって憲法上保障された権利が制約されることのないよう、慎重な検討及び制度設計を要する。
 ところが、要綱(骨子)案には、捜査機関が、電磁的記録を利用する権限を有する者に対…

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反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有の方針を明らかにした安保3文書改定の閣議決定に対し、憲法9条及び立憲主義の見地から強く抗議し、撤回を求める会長声明

2023.12.11

1 反撃能力(敵基地攻撃能力)の実態
政府は、2022年12月16日、「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」のいわゆる安保3文書の改定を閣議決定し、「相手からミサイルによる攻撃がなされた場合、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる武力攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力、すなわち反撃能力を保有する必要がある。」とした。反撃能力とは、敵の領域に達して攻撃を行える能力であり、政府が従前「敵基地攻撃能力」と呼んでいたものである。
反撃能力は、敵の基地を攻撃するだけに留まるものではない。「…

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「大崎事件」再審請求即時抗告棄却決定に抗議する会長声明

2023.08.28

 
1 福岡高等裁判所宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は、2023年(令和5年)6月5日、いわゆる大崎事件第4次再審請求事件につき、請求人の即時抗告を棄却し、鹿児島地方裁判所の再審請求棄却決定を維持する決定をした(以下「本決定」という。)。
2 大崎事件は、1979年(昭和54年)、鹿児島県大崎町において牛小屋から遺体が発見されたことに端を発し、原口アヤ子氏(以下「アヤ子氏」)、その当時の夫及び義弟が殺人・死体遺棄の、義弟の子が死体遺棄の罪に問われた事件である。アヤ子氏は一貫して無罪を主張したが、懲役10年の有罪判決を受け服役した。有罪の有力な証…

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「袴田事件」の速やかな再審公判開始及び袴田巖氏の雪冤を求める会長声明

2023.07.11

 本年3月13日、東京高等裁判所(大善文男裁判長)は、いわゆる「袴田事件」の第二次再審請求事件について、静岡地方裁判所の再審開始決定を支持して、検察官の即時抗告を棄却する決定をし、検察官が特別抗告を断念したことにより再審開始決定が確定した。
「袴田事件」は、1966年(昭和41年)6月30日未明、旧清水市(現静岡市清水区)の味噌製造会社専務宅で一家4名が殺害された強盗殺人・放火事件であり、1980年(昭和55年)12月12日、死刑判決が確定した。袴田氏は、1981年(昭和56年)4月に、第一次再審請求を申し立てたが、2008年(平成20年)3月に最高裁…

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特定少年の実名等の公表及び推知報道を控えることを求める会長声明

2023.07.10

1 「少年法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第47号、以下「改正少年法」という。)により、18歳又は19歳の少年(以下、「特定少年」という。)について、特定少年のとき犯した罪により公判請求(起訴)された場合において、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならないとする推知報道の禁止が解除された(同法68条本文、同61条)。
2 令和5年7月3日と同月4日、岐阜県内で少年4名(うち、特定少年2名)を含む5名が起こしたとされる事件の特定少年2名につい…

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低賃金労働者の生活を支え地域経済を活性化させるために岐阜県の最低賃金額の大幅引上げと地域間格差是正を求める会長声明

2023.07.10

1 長期に及ぶ新型コロナウイルスの影響とロシアのウクライナ侵攻の中で、食料品や光熱費など生活関連品の価格が急上昇している。
2022年度の全国消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食料品を除いた指数が前年度比3.0%と41年ぶりの記録的な大幅上昇となった。大手食品会社などが今後のさらなる値上げを発表しているなど、急激な物価高騰の傾向は今年も続く見込みである。
労働者の生活を守り、経済を活性化させるためには、企業や事業主への支援と並行して、全ての労働者の実質賃金の上昇を実現することが必須である。そして、賃金の底上げのためには、最低賃金額を大きく引…

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少年事件の実名等の報道に強く抗議し、少年法第61条の遵守を求める会長声明

2023.06.23

 株式会社新潮社は、「週刊新潮」2023年6月29日号において、本年6月14日に岐阜市の陸上自衛隊射撃場で発生した自動小銃による殺傷事件に関し、被疑者とされた18歳の少年の実名及び顔写真を掲載した。
 少年法第61条は、少年の氏名、年齢、容ぼう等により当該事件の本人と推知できるような記事又は写真の出版物への掲載(以下「推知報道」という。)を禁止している。2022年4月1日に施行された少年法等の一部を改正する法律(以下「改正少年法」という。)により、18歳及び19歳のときに罪を犯した場合において推知報道禁止が一部解除されるに至ったが、あくまでも家庭裁判所…

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供述記録媒体の証拠化に関する会長声明

2023.06.19

1 閣議決定された供述記録媒体を証拠化する法律案
2023(令和5)年3月14日に刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(以下「法律案」という。)が閣議決定された。そのうち「被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則の新設」では、一定の聴取対象者の取調べの全過程を録音・録画した記録媒体について、一定の条件のもと、その記録媒体を主尋問に代え、その記録媒体を公判廷で取り調べた後、訴訟関係人に対し、その聴取対象者を証人として尋問する機会を与え、証拠能力を付与する案が示された。聴取対象者としては、「犯罪の性質、供述者の年齢、心身の状態…

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「オンライン接見」の実現を求める会長声明

2023.06.19

1 検討会
法務省の検討会(「刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会」、以下「検討会」という。)は、2021(令和3)年3月より、刑事手続におけるIT技術の導入に関する議論を行い、その結果を2022(令和4)年3月15日付け「取りまとめ報告書」(以下「報告書」という。)にて発表した。報告書では、「書類の電子データ化、発受のオンライン化」「捜査・公判における手続の非対面化・遠隔化」が検討事項として挙げられている。その中の「被疑者・被告人との接見交通について」の項目では、弁護人と被疑者・被告人との非対面・遠隔での接見を可能にするため、ビデオリンク…

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出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明

2023.05.10

1 政府は、本年(2023年)3月7日、出入国管理及び難民認定法改正案(以下「本改正案」という。)を国会に提出し、5月9日に衆議院の本会議で可決された。
本改正案は、2021(令和3)年の通常国会で廃案になった出入国管理及び難民認定法の改正案(以下「旧法案」という。)について、その骨子を変えないままに再提出されたものである。
当会は、旧法案に対して反対意見を述べた(同年2月5日付け「送還忌避罪を創設する等の入管法改正に反対する会長声明」)。本改正案についても、旧法案に対する懸念は払拭されていない。特に、以下の問題点は深刻である。
2 本改正案におい…

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