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統一教会を始め宗教等二世の被害の防止と支援を求める会長声明

2024.03.13

2022年7月8日に発生した元首相銃撃事件をきっかけに、宗教法人宗教法人世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊教会、統一教会と略称される。)を始め、保護者の宗教的活動が原因となって家計のひっ迫を招き、子どもに対して十分な監護・教育がなされなかったり、子どもが保護者の信仰に基づく特異な思考・行動様式を強いられたりするなど、その成長や発達に重大な影響を受ける実態があることが明らかになってきた。そして、人格形成期にこうした環境下に置かれた者は、成人した後にも、植え付けられた宗教上の教義から離脱できず、長年にわたり精神的に不安定な状態となることを余儀なくされ、生活上の困難を抱え続けることも明らかになってきた[i]

このように、特定の宗教を信仰する保護者の下で、その信仰を強いられたり、 宗教上の教義の影響を受けて育つ立場の者は、一般的に宗教二世と呼ばれている。 そして、同様の問題は、宗教と明確に定義されない特異な思考背景を持つ団体や個人の影響下にある保護者の下で暮らす子どもにも生じ、対応において共通する部分がある。そこで、本声明では、保護者が属する宗教及び宗教以外の団体等の教義ないし思想による影響を受ける子どもを「宗教等二世」と呼ぶ。

言うまでもなく、宗教等二世が置かれたこのような状況は、子どもの生存、成長発達の権利等、子どもの諸権利を侵害するものである。国は、令和4年12月27日付け厚生労働省子ども家庭局長通知「宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A」などの周知や、学校等での指針となる宗教等二世問題への対応マニュアルを作成するなどの施策に取り組むとともに、法改正を含む幅広い支援を積極的に行うべきである[ii]

また、国や地方自治体は、支援が必要な宗教等二世の把握に務め、民間団体とも連携しながら、教育、福祉、医療等の各施策を通して、宗教等二世への相談、支援を確実に行い、困難を抱える全ての宗教等二世に支援が届くように努めるべきである。

 もとより、当会も、宗教等二世の支援に全力を尽くす所存である。

 

2024年(令和6年)3月13日

 

                         岐阜県弁護士会

                           会長 神 谷 慎 一

 

[i] 日弁連の2023年12月14日付け「宗教等二世の被害防止と支援の在り方に関する意見書」https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2023/231214_2.pdf

[ii] 具体的な方策については、前記注ⅰの日弁連意見書が詳細に検討・提言しており、参考にされるべきである。

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