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国家公務員法等の一部を改正する法律案のうち、検察官の勤務延長の特例措置に関する部分の改正に反対する会長声明

2020.05.19

国家公務員法等の一部を改正する法律案のうち、検察官の勤務延長の特例措置に関する部分の改正に反対する会長声明

 

1 内閣は、2020(令和2)年3月13日、国家公務員法等の一部を改正する法律案を閣議決定し、これを国会に提出した。同法律案は、新型コロナウイルス対策急務の中、同年4月16日、衆議院本会議で審議入りした。

 同法律案には、検察庁法の改正も含まれており、その内容は、①検察官の定年を63歳から65歳に延ばす、②次長検事、高検検事長、地検検事正ら幹部は63歳になると役職を退く(役職定年制)を設ける、③ただし、政府が「公務の運営に著しい支障が生じる」と認めれば、特例でその職を続けられる、などというものである。

 

2 そもそも検察官が一般の国家公務員と異なり検察庁法により規律されるのは、検察官の職務が公訴権を独占するという司法的役割を担うことから、他の国家公務員にも増して、より厳正公平、不党不偏が求められるためである。最も顕著にそれが発揮されるのは、行政権のトップたる内閣総理大臣をも捜査・起訴する場合である。

このように、検察には、その準司法的機関性から、憲法の三権分立の原則の趣旨が及ぶ。したがって、検察は行政権からも独立していなければならないのである。法務大臣の個別指揮権は検事総長にしか及ばず、個別の検察官に及ばないとして検察官の独立を規定した検察庁法14条は、その現れである。

 ところが、この法案が成立すれば、③のただし書きを根拠に時の政権が検察人事に介入することを法が許容することになる。そうなれば、検察内部に政権への忖度が発生し、ひいては、厳正公平、不偏不党を旨として公正誠実に職務することを理念とし、準司法権機関としての地位を有する検察の独立性、中立性を揺るがし、三権分立の原則をも脅かすことになる。ときには行政権のトップたる内閣総理大臣をも捜査・起訴する検察官の職責を十分に全うさせることができなくなるのである。

 

3 さらに、今回の法案は、東京高検検事長の定年を延長する閣議決定を法によって正当化しようとするものといわざるを得ない。東京高検検事長の定年を延長する閣議決定について、当会は、同年3月27日付けで、違法ゆえに撤回を求める会長声明を発出したところである。このような、違法な閣議決定を事後的に追認し正当化する目的の法律改正は断じて許されない。

 

4 よって、当会は、国家公務員法等の一部を改正する法律案のうち、検察官の勤務延長の特例措置に関する部分に強く反対する。新型コロナウイルス感染が未だ収束しない最中に、高齢社会に対応するため国家公務員の定年を引き上げる法案の中に紛れ込ませるような形で国会に提出され、一括審議しようというその手法も、主権者たる国民をないがしろにするものであり、強く抗議する。

 

2020(令和2)年5月19日

岐阜県弁護士会  会長  山 田    徹

 

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