最低賃金の大幅引き上げの継続と、これを担保する賃上げ原資確保施策の充実を求める会長声明
1 最低賃金については、5年連続で過去最高の引き上げがなされ、令和7年度にはすべての県で最低賃金が1000円を超え、岐阜県では1065円に、全国加重平均は1121円まで引き上げられた。
しかしながら、令和7年の引き上げ額は、全国加重平均で66円と、政府が令和7年度骨太方針で謳った2020年代中の全国加重平均1500円の目標達成に必要な年割り額(74.2円)を下回った。
物価高にあえぐ低所得者の生活を担保し、また政府目標を達成するためにも、2020年代中の全国加重平均1500円の目標を堅持し、令和8年も引き続き過去最高の最低賃金の引き上げの継続が必要である。
併せて、全国一律の最低賃金制度への制度改革も急がれるべきである。なぜなら、最低賃金の格差が労働人口の流出を招き、ひいては地方の活力を低下させることなどから、最低賃金が低額な県を中心に中央最低賃金審議会の目安額を大幅に引き上げる動きがあるほか、実質的な生計費に地域間格差が乏しいとの研究結果も報じられており、地域別最低賃金制度の意義について改めて考え直す時期に来ているからである。
2 また、発効日が大幅に遅くなったことも令和7年度の大きな特徴であり、例年どおり10月1日に発効した県はわずか1県(栃木県)のみとなり、27の府県で11月以降の、6県では年明けの発効となり、最も遅い秋田県の発効日は半年遅れの3月31日となった。
発効が遅くなれば、その分年度内に労働者が得られる賃金が目減りする。秋田県のように発効日が半年遅くなれば、実質的には引き上げ幅が半額にとどまった場合と同様の賃金が得られるにとどまることになる。
わが国の最低賃金制度は、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定等に資することを目的としており(最低賃金法1条)、今後も、発効日が遅れ、労働者の得られる賃金が目減りすることになれば、最低賃金制度の趣旨に悖ることになるため、発効の遅れについての対策も急務である。
この点、本年2月18日中央最低賃金審議会は、最低賃金の発効時期について議論を行い、3月中に報告書をまとめる方針であると報じられた。かかる議論および報告書においては、前記のような最低賃金制度の趣旨を踏まえた議論、報告を強く期待する。
3 最低賃金の引き上げ幅や、発効日の遅れについては、いずれも賃金の支払い能力担保の観点によるものと報じられている。
このことは、これまで行われてきた生産性の向上や価格転嫁などの賃金の支払い能力担保政策では、政府が掲げた最低賃金の引き上げ目標達成には不十分であり、さらなる政策の充実が急がれることを示している。
最低賃金の大幅引き上げに対して、賃金支払い能力の面で苦境に立たされることになるのは零細事業者である。これらの事業者においては、もともと事業規模が小さいことから、売り上げ増、生産性の向上や価格転嫁などにより多額の賃金原資を得ることは難しい側面がある。そのため、効果的なのは事業者の負担軽減策である。
かかる観点からすると、一定規模以下の事業者について、社会保険料の事業主負担部分の減免の措置を行うことが一つの方策として考えられる。
さらに、これらの施策によっても、賃上げ原資の確保が困難な事業者の存在も想定されることから、さらなる施策についても検討すべきである。
例えば、秋田県では、令和8年1月から、最低賃金の大幅引き上げで影響を受ける中小企業等の負担激変緩和のための緊急支援金事業を開始した。このような制度について国の財源による実施施策が行われることや、岐阜県が独自財源により実施することも検討されるべきである。
4 以上のことを踏まえ、当会は、国に対して、2020年代中の全国加重平均1500円の目標を堅持し、令和8年も引き続き過去最高の最低賃金の引き上げを行うとともに、かかる大幅な最低賃金の引き上げに対応できる賃金原資確保施策を積極的に行い、もって物価高にあえぐ労働者が健康で文化的な生活を確保することを求める。岐阜県に対しても、過去最高の最低賃金の引き上げの継続と、これを担保する独自の賃金原資確保施策を求める。岐阜県地方最低賃金審議会には、過去最高の最低賃金の引き上げの継続と、国や都道府県の賃上げ原資確保施策も踏まえ、令和8年度は例年通り10月1日発効することを求める。
2026年(令和8年)3月11日
岐阜県弁護士会
会長 小 森 正 悟
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