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先行的暴力団排除協議会設立と行政の関与の必要性に関する意見 (第78回民事介入暴力対策岐阜大会)

2013.07.12

暴力団が不動産に関連して行う資金獲得活動では、大規模な工事に下請け等の介入を要求して行う事例が代表的です。これに対しては、暴力団の介入がなされる以前の工事の計画段階の早いうちから、先行的に、暴力排除協議会を設立するという手法が非常に有効です。
 先行的な暴力団排除協議会を有効に機能させるためには、暴力団排除という一つの目的のもと、市民がいかに強固な意思で団結できるかという点が重要です。従って、暴力団排除が市民共通の利益(公益)であることを強調する必要があります。
 そのためには、公益の体現者たる行政が、鮮明に暴力団排除の姿勢を示し、積極的かつ具体的に協議会の設立に関与することが必要不可欠です。

 暴力団は、資金獲得のために、常に「組織の有する暴力的なイメージ」を駆使して資金を獲得する方法を模索しています。
 暴力団が不動産に関連して行う資金獲得活動は、大規模工事に「下請け介入」を図ることが代表的な例です。
 建設工事は、重層的、段階的に多くの業者が関係し、構造的に暴力団が介入しやすいという弱点があります。そして、彼らの介入を一旦許せば、次第に介入・癒着の度合いを深めてさらなる利益を得ようと暗躍し、その様に得られた利益は事後に剥奪することは困難となります。
 大規模工事における暴力団の下請け介入を阻止して資金獲得を防ぐためには、まずもって暴力団の介入を許さないことが一番重要ですが、暴力団は工事のかなり早い段階から、さまざまな方法を用いて介入を図ろうとしている実態が見受けられます。
 そこで、大規模工事における下請け介入を阻止するためには、早期に、暴力団の持つ「暴力的なイメージ」を払しょくする体制づくりが重要であり、東京の再開発事業において先行的に、現場単位で、官民一体となった暴力団排除協議会を設立することでこのような体制作りに成功した例がありました。暴力団の介入に対して現場ごとでの対応を基本とし、官民一体の排除姿勢を明確に打ち出したことによって、事業に携わる業者間に団結感が生れ、暴力団の介入に対して効果があり、また業者自身の暴力団との癒着を断ち切るきっかけともなった、とのことでした。
 この先行的暴力団排除協議会設立による排除手法は暴力団の行動原理に即した有効な手段であり積極的に活用すべきですが、地方での再開発事業では、濃密な地縁関係や、工事関係者の少なさなどから暴力団排除の気運が高まらない可能性があることが懸念されます。
 このような懸念に対しては,公益の体現者たる行政が,暴力団排除の姿勢を明確に打ち出すとともに,積極的に暴力団排除協議会の設立に関与することで,かなりの部分を補完することができると考えています。

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