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刑事被告人の元弁護人の法律事務所への捜索に抗議する会長声明

2020.02.12

刑事被告人の元弁護人の法律事務所への捜索に抗議する会長声明

 2020年1月29日,東京地方検察庁(以下「東京地検」という。)は,東京地方裁判所裁判官が発付した令状に基づき,出入国管理法違反等被疑事件の関係先として,関連事件の弁護人であった弁護士の法律事務所を捜索し,被疑者(関連事件では被告人)の保釈中の面会記録を押収した。

 日本弁護士連合会の調査によれば,本件では,弁護士が刑事訴訟法105条に基づき押収拒絶権を行使し,東京地検の検察官らが法律事務所内へ立入ることを拒否したにもかかわらず,同検察官らは,法律事務所の裏口から無断で事務所内に侵入した。その上,同検察官らは,弁護士からの再三の退去要請に応じず長時間の滞留を続け,法律事務所内のドアの鍵を破壊し,本件とは関係のない多数の事件記録が置かれた弁護士の執務室内をビデオ撮影するなどした。結局,検察官らが押収したものは,押収前に東京地検が弁護人から既に入手済みのものであったという。

 弁護士には,秘密を委託される業務及びこの業務を利用する社会一般を保護するため,刑事訴訟法105条により押収拒絶権が保障されている。秘密に当たるか否かの判断は,委託を受けた弁護士の専権に属するものとされている。よって,弁護士が押収拒絶権を行使した場合,刑事訴訟法105条但書の場合を除き,検察官らは押収対象物の捜索をすることができない。そして,本件では同条但書に該当する事情はない。したがって,検察官らが取った今回の行動は,同条に違反する違法な行為であり,正当化の余地はない。

 今回の検察官らの行為は,対立当事者である弁護人が刑事事件において被疑者・被告人のために活動する立場にあることそのものを攻撃し,刑事弁護活動を大きく萎縮させようとするもので,わが国の刑事司法の公正さを著しく損なうものである。加えて,社会一般の法律事務所における秘密の保持への信頼を破壊しかねないという点で,その違法性は極めて高い。そこで,当会は,明白かつ重大な違法がある東京地検による本件捜索行為に対して強く抗議するとともに,同様の事態を今後再び招くことのないよう求めるものである。

 また,今回のような捜索に対して弁護士が押収拒絶権を行使することは,令状を発付した裁判官にとって明白であったはずである。それにも関わらず安易に令状を発付したことは,権力の濫用をコントロールするという令状主義の趣旨に鑑みて明らかに不当である。そこで,当会は,この点についても強く抗議し,裁判官に対し,適正手続の実現を求めるものである。

 

令和2年2月7日        

岐阜県弁護士会 会長 鈴木 雅雄

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