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生活保護基準の引下げを行わないよう求める会長声明

2018.03.14

 政府は,2017年12月22日,2018年度から生活扶助基準本体等を大幅に引き下げる予算案を閣議決定し,現在国会において審議が行われている。これは2004年からの老齢加算の段階的廃止,2013年からの生活扶助基準の削減(平均6.5%,最大10%),2015年からの住宅扶助基準・冬季加算の削減に引き続くものである。
 今回の引下げの考え方は,社会保障審議会における審議結果を踏まえ,一般低所得世帯の消費実態を反映させるというものであり,2017年12月8日に示された第35回社会保障審議会生活保護基準部会案は,生活保護基準を第1・十分位層(所得階層を10に分けた下位10%の階層)の消費水準に合わせるというものであった。
 しかし,我が国では,厚生労働省が公表した資料によっても,生活保護の捕捉率(生活保護基準未満の世帯のうち実際に生活保護を利用している世帯が占める割合)が2割ないし3割程度と推測され,第1・十分位層の中には,生活保護基準以下の生活を余儀なくされている人たちが多数存在する。この層を比較対象とすれば,生存権保障水準を引き下げ続けることにならざるを得ず,合理性がないばかりか生存権保障を定めた憲法25条の趣旨に悖るといわざるを得ない。
 いうまでもなく,生活保護基準は,最低賃金,就学援助の給付対象基準,介護保険の保険料・利用料や障害者総合支援法による利用料の減額基準,地方税の非課税基準等の労働・教育・福祉・税制などの多様な施策の適用基準と連動している。生活保護基準の引下げは,生活保護利用世帯の生存権を直接脅かすとともに,生活保護を利用していない市民生活全般にも多大な影響を及ぼす可能性がある。
 そのため,更なる生活保護基準の引下げを行うことは,これまでの度重なる生活保護基準の引下げによって既に「健康で文化的な生活」を維持し得ていない生活保護利用者を更に追い詰め,その生存権を直接脅かすだけでなく,市民生活全般の地盤沈下をももたらすものであり,到底容認できない。
 よって,当会は,国民の生存権保障のため,生活保護基準の引下げを行わないよう強く求めるものである。

2018年(平成30年)3月14日
岐阜県弁護士会
会長 浅 井  直 美
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