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成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のための実効性ある施策の実現を求める会長声明

2021.08.06

成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のための実効性ある施策の実現を求める会長声明

民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号。以下「本法律」という。)の2022年(令和4年)4月1日の施行日まで8か月を切った。

民法の成年年齢引下げについての2009年(平成21年)10月の法制審議会の意見は、成年年齢の18歳への引下げを適当としながらも、その前提条件として、①若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれを解決する施策が実現されること、②施策の効果が十分に発揮されること、③施策の効果が国民の意識として現れることを掲げていた。
本法律の法案は、2018年(平成30年)の通常国会に提出され、同年6月に成立したが、これらの条件のほとんどが達成されていなかったため、本法律の施行日は、成立後3年10か月という長期の準備期間をおいた2022年(令和3年)4月1日とされた。

また、本法律成立に際しては、参議院法務委員会において全会一致で附帯決議がなされた。その内容は、①若年者の消費者被害の拡大防止のために、知識、経験、判断力の不足など消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して勧誘し契約を締結させた場合における消費者の取消権(いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権)を創設すること(法成立後2年以内)、②若年者の消費者被害を防止し救済を図るために必要な法整備を行うこと(法成立後2年以内)、③マルチ商法等への対策について検討し、必要な措置を講ずること、④消費者教育の充実を図ること、⑤18歳、19歳の若年者への周知徹底や社会的周知のための国民キャンペーン実施を検討すること、⑥施行日までに措置の実施、効果、国民への浸透について検討し、その状況を公表すること、などを求めるものであった。これらは、本法律が法制審議会の示した前提条件を達成しないまま成立したという状況を踏まえ、施行までに必ず実現しなければならない施策として示されたものであった。

しかし、本法律成立から3年以上が経過し、施行まで8か月を切った現時点においても、いずれの施策もいまだに不十分であると言わざるを得ない。特に、18歳、19歳の若者が未成年者取消権を喪失することによる若年者の消費者被害拡大に対応する施策は急務であるが、附帯決議が想定するつけ込み型不当勧誘取消権の創設は、附帯決議に明示された期限を既に経過しているにもかかわらず、その実現には至っていない。なお、本法律と同時期に成立した消費者契約法の一部を改正する法律は、成年年齢引下げに対応するものと位置づけられているものの、この改正法は、附帯決議がなされる直前に成立したものであり、改正の内容も「不安をあおる告知」や「好意の感情の不当な利用」などに限定されているため、附帯決議が想定するつけ込み型不当勧誘取消権としては、極めて不十分である。
消費者教育についても、「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」等は実施されているものの、消費者被害の予防につながる実践的な消費者教育が十分に行われているとは言えない。さらに、成年年齢引下げの結果として、未成年者取消権を喪失することの意味やリスクにつき、周知徹底がなされているとは言い難い。

 よって、当会は、上記状況を踏まえ、本法律が施行される2022(令和4)年4月1日までに、上記附帯決議に示された施策の全てを実現することを求めるとともに、仮に施策が実現されないときは、未成年者取消権の行使可能年齢引下げの施行日を延期することを求める。

2021(令和3)年8月5日
岐阜県弁護士会
 会長 小 島 浩 一

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