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支部及び簡易裁判所の裁判官の大幅な増員を求める決議

2005.02.26

司法制度改革審議会は,2001年,その最終意見書において,国民が利用しやすい司法制度の大前提として,裁判所の人的基盤について「飛躍的な増大を図っていくことが必要不可欠であって,そのために,法的措置を含め大胆かつ積極的な措置をとるべきである」と提案した。
 これを受けて閣議決定された「司法制度改革推進計画」では,司法の機能を充実強化するために,上記最終意見書の提案を最大限に尊重し,裁判官の大幅な増員を図ることが必要であるとした。
 ところで,裁判所における新受件数は,2003年までの15年間で民事事件が2.2倍,刑事事件が1.5倍に増加したほか,10年間で破産事件は約10倍に激増したにもかかわらず,裁判官の定員は1.1倍の3191人(2004年度)に微増したにすぎず,事件数の増加に見合った増員がなされていない。
 さらに,2003年7月には裁判の迅速化に関する法律が成立し,一審の裁判を2年以内のできるだけ短い期間で終わらせることを目標として手続を進めることと,これを支える制度の整備として裁判所の人的体制の充実すべきことが定められた。また,裁判員制度や労働審判制度が創設され,密度の高い審理を迅速に進めることが期待されており,裁判官と裁判所職員の大幅な増員がいっそう不可欠となった。
 しかるに,最高裁判所は,わずかに年間約50人,10年間で約500人を増員する計画を立て,最近になって年間75人(判事40人,判事補35人)を増員すると改めたにぎず,適正・迅速な裁判のための増員計画にはほど遠い。
 ましてや,裁判官の偏在については全く手がつけられていないと言っても過言ではなく,現に,全国の地裁203支部の約2割にあたる46支部には裁判官が常駐していないなど,地裁・家裁の支部及び簡易裁判所における裁判官数の不足が際だっている。
 ところで,岐阜地方裁判所・家裁裁判所管内においては,本庁及び岐阜簡易裁判所のほか,地域に密着した司法サービスを提供するために,大垣,多治見,御嵩支部及び高山の各地家裁支部並びに大垣,多治見,御嵩,高山,中津川及び八幡の各簡易裁判所が設置されている。
 しかしながら,岐阜においては,かつて,簡易裁判所判事を減少させたために,本庁の未特例判事補に簡易裁判所の事件を分配した時期があり,その後,本庁の事件の増加に伴って未特例判事補に対する簡易裁判所の事件分配を減少させ,かわりに各簡易裁判所から岐阜簡易裁判所判事へ簡易裁判所判事を引き揚げるなどしたために,裁判官不足のしわ寄せが支部及び各簡易裁判所に来ることとなった。
 その結果,本庁において事件配点の煩雑,ひいては円滑な書記官事務にも支障を来しているほか,支部の裁判官は,地裁・家裁との兼務のほか簡易裁判所判事も兼務し,また,民事と刑事の兼務や,破産,保全,執行,家事,少年,令状など,あらゆる事件の配点を受けて,その負担過重は極限まで来ている。
 これでは,保全事件,令状事件,保釈事件など緊急性のある事件の対応が不十分となるおそれがあるばかりか,裁判官の負担過重によって長期未済事件が発生し,例えば,大垣支部の家事審判事件の一部が本庁へ回付されるなどして当事者が困惑するなど,裁判官不足による弊害が現実化している。
 この状態を放置したままでは,地方における裁判を受ける権利や司法改革の阻害となる。
 よって,最高裁判所が,支部及び簡易裁判所における裁判官の配置について十分な検討を加え,早急に,支部及び簡易裁判所の裁判官を大幅に増員することを求める。

2005年(平成17年)2月26日
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